●佐藤 輝 朗読舞台LIVE『生きるよろこび』2018

いがったの.

朗読舞台LIVE『生きるよろこび』
鳥海と浜中のエネルギーをもらって神楽坂に花咲かす
佐藤 輝演出・出演)

 

◆役作りと俳優の感性を育んだ庄内
昭和39年に酒田東高校を卒業して以来、俳優として主に舞台を中心に活動してきました。
先代松本幸四郎さんとコンビを組んで484回のサンチョ役を演じたミュージカル『ラ・マンチャの男』公演をはじめ、帝国劇場出演500回を含め演劇の第一線で舞台出演回数約4,000回という活動を続けていられることを、本当に幸せなことだとしみじみと思っています。
この間、稽古や演技中に受けた打ち身や捻挫、生の舞台出演の緊張感によるストレスでの胃炎などはあっても、入院手術を必要とする怪我病気が一度もなく、それによって数カ月間も続くことがあった舞台公演に1回も穴を開けることがなかったことをありがたく思います。
個性あるキャラクターと演技を生み出すこの肉体を与えてくれた上に、将来の生活を心配して俳優の道に進むことに猛反対しながらも最後には認めてくれ、先頭に立って応援を続けてくれた、今は亡き両親に感謝しています。
と同時に、役作りと演技の発想を支えてくれる俳優としての感性は、故郷庄内平野の風土と民俗によって育まれたものであり、特に高校時代を過ごした酒田で受けた文化的刺激の大きさは計り知れません。市民会館で観た数少ないプロの演劇も、グレン・ミラーで上映が始まるグリーンハウスや隠れて入った日活映画館も、貿易船が入る港も、雪降る中の黒森歌舞伎も。余目に帰る終列車に乗り遅れて困っている僕に声をかけて、自宅に泊めてくれた上に弁当まで持たせてくれた行商帰りのご夫婦も。
それら総てを見守って気高く北に屹立する出羽富士鳥海山。
229kmの流域と人々の暮らしを潤して酒田の海に滔々と流れ込む最上川。

写真提供・筆者(以下・ホーム同様)



◆鳥海山登山と浜中海水浴場キャンプ
今年8月の山の日に、一昨年に続いて人生3回目の鳥海登山を楽しみました。どのルートをたどってもそれなりにハードな山だと納得させられましたが、高山植物の花々が次々と現れては目を楽しませてくれ、上っても下っても眺める世界の変化が大きく、飽きる暇がない実に味わい深い山です。ガツンと黒く咲くチョウカイアザミの力強さに感動しては呻き、母校の校章にデザインされているチョウカイフスマの小さな白い花の繊細さに、高校時代の思い出をたどりました。
吹浦漁港を包み込んだ影鳥海を眺めた後に、いよいよ新山登頂を目指しました。太陽の当たり具合で黒とも灰色とも言える溶岩の大きな塊の一岩一岩を登るごとに、見える世界が広がる喜びを噛み締め、胎内くぐりの狭い隙間から見上げた空の蒼さに感嘆。
快晴の新山山頂に立てばぐるり360度の眺望が開けて身震いしました。
北方の彼方に岩木山。東北地方の山々が見事に眺められました。
南西に目を転ずれば、酒田市街を中心に最上川横切る緑一面の庄内平野が広々と広がり、風力発電風車群と庄内浜の海岸線がくっきりと南に続いてその先には粟島の島影まで。
登山者の人影が小さく稜線に見える外輪山越しには遥か雲海に浮かぶ月山、葉山、その左奥に蔵王山、月山の先には朝日連峰から飯豊まで続いています。
翌日は山頂から眺めた庄内砂丘のど真ん中、浜中海水浴場でキャンプ。ここでは35年ほど前から度々テントを張っており、最近は毎年のようにキャンプを楽しみ、今年も日本海を茜に染めて沈みゆく夕日の余韻に乾杯し、ペルセウス流星群にどよめき、太陽に焼けた砂の熱さに飛び走り、澄んだ浜中ブルーで魚になりました。砂浜から見ると砂丘越しの北の空に昨日登ったばかりの鳥海山が山頂から西に下る稜線をくっきりと見せていました。庄内の夏に染まりました。
◆庄内のエネルギーを舞台に
11月の東京・神楽坂に、酒田の文化に育まれたこの感性を活かし、庄内の夏のエネルギーをたっぷり貰った舞台が花開きます。
佐藤輝が満を持して、久々に舞台に立ちます! !
僕が所属しているプロダクション “オフィス天童” 朗読舞台LIVE『生きるよろこび』に11月16日〜18日、出演します。会場は神楽坂のライブホールTHEGLEE。どうぞご期待ください!!
僕が、太宰治の「清貧譚」と「カチカチ山」などを『生きるよろこび』として構成、演出します。両陛下最後のご出席となった今年6月の日本芸術院賞授賞式で、弱冠51歳ながら受賞した日本舞踊家で俳優の花柳寿楽を中心に据えたレベルの高い、わくわくする舞台です。
4歳から日本舞踊を祖父・人間国宝・花柳壽楽と父・二世花柳錦之輔に師事した花柳寿楽さんのレベルの高い表現力と品格の高さは今、日本舞踊の概念を変えた舞踊家として絶大な評価を受けています。帝国劇場『エンドレス・ショック』、新橋演舞場『滝沢演舞城』などのジャニーズ公演や宝塚歌劇団公演、蜷川幸雄演出の舞台の振付、NHKドラマ「とと姉ちゃん」「風の市兵衛」などの所作指導など幅広く活躍。また、俳優として、蜷川幸雄演出『NINAGAWA マクベス』『王女メディア』『テンペスト』などの舞台、NHK大河ドラマやラジオドラマにも出演。蜷川幸雄演出の『近松心中物語』、2010年朗読公演『生きるよろこび』の舞台で僕と共演している長い付き合いの舞台仲間です。脇を固める出演者も全員が“オフィス天童”所属の俳優たちで、全編を支える生のピアノ演奏は演劇界で大活躍の作曲家上田亨さんがこの舞台のために作曲したオリジナル曲。演出・佐藤輝が総てをまとめて息の合った楽しい舞台を創ります。
もちろん、俳優・佐藤輝も重要な役どころで出演します。それは、見てのお楽しみ。舞台は生もの、ある日ある時にその演劇空間を共有した人しか味わえないLIVE感がたまりません。実際には見てもいないのに他人の受け売りで評論したり批判したり挙げ句は腐したりは愚の骨頂。さあ、あなたに『生きるよろこび』を人とともに実感できる感動が訪れる時はやってくるのか? まずは実感することから。自分が本当に感じる実感を大切にしてください。その積み重ねが人生だと思いませんか? 心が惹かれた方は是非ともおいでください。会場でお待ちしています。
◎問合せ、チケット申込みは オフィス天童へメールで info@office-tendo.jp
○オフィス天童URL http://office-tendo.jp
○俳優佐藤輝ホームページURL http://terutsuu.com